【第75回】
陰嚢内疾患について
1.陰嚢に睾丸(精巣)がないもの
生まれつき睾丸(精巣)が下降しておらず、従って、陰嚢に睾丸がない疾患。検診で発見されることが多く、用手的に陰嚢内に移動が可能なもの(移動性睾丸)は、4−5歳まで、経過観察を行う。それ以外のものは、手術療法を行う。
2.陰嚢水腫
無痛性に陰嚢が腫れる病気で、睾丸周囲に、漿液が貯留する状態。超音波検査で、診断は容易で、穿刺を行い治癒する場合もある。難治例には手術療法を行う。
3.精索静脈瘤
陰嚢に、拡張、蛇行した静脈瘤を認める。積極的な治療はしないが、不妊症との関係がある場合には、手術療法を行う。
4.そけいヘルニア
鼠径管から腹膜をかぶった臓器が脱出し、陰嚢が腫大する状態。片側性、無痛性、自然治癒はしないため、手術療法を必要とする。
5.副睾丸炎(精巣上体炎)
尿道炎に続いて起きるものとされている。陰嚢は、浮腫性に腫脹し、発赤および局所熱感が著明である。局所所見および発熱などの症状により診断は容易で、抗生剤の投与を行う。
6.精索捻転症(睾丸(精巣)捻転症ともいう)
精索を軸として、睾丸および副睾丸が回転することによって起こるもので、激しい疼痛を伴う。速やかに診断を行い整復することが必要とされる。
7.睾丸(精巣)腫瘍
無痛性に精巣が腫れる病気で、発見が遅れる場合がある。他のがんと同様、その組織型、進行度とが生命予後に深く関係する。
令和4年6月
家田医院
家田和夫
家田医院
家田和夫