【第93回】
がんで死なないために(治るがんと治らないがんの話)
1)日本人の死因統計について(どんながんが多いでしょう?)
日本人は男女とも、世界有数の長寿国として有名ですが、日本人は亡くなる際どのような病気、原因で亡くなるのでしょうか? 厚生労働省発表の人口動態統計年報によりますと、死因別に多いほうから、@悪性新生物(がんのこと)30.1%、 A心疾患(心筋梗塞など)15.8% B脳血管障害(脳卒中など)10.7% C肺炎 9.8% D老衰 3.4% などとなっています。 これを見るとがんで亡くなる方が多いことがわかります。 がんの種類別死因でみると、男性は@肺がんA大腸がんB胃がんC膵がんD肝臓がん、女性は@大腸がんA肺がんB膵がんC乳がんD胃がんの順となっています。
では、日本人は一生のうちどのくらい人ががんになるでしょうか?国立がん研究センターの統計では、生涯でがんになる確率は男性で65.5%、女性で51.2%となっています。(案外多いと思いませんか?)一方、がんでお亡くなりになる方は、男性で26.2%、女性で17.7%です。 がんになった方全てががんで亡くなるわけではないことが分かります。治るがんも多いのです。ではその差は何でしょうか?
2)治るがんと治らないがん
一般的に、がんは早いうち、小さいうちに(早期がんのうちに)見つけて適切な治療を行うことで治すことできると言われています。発見、診断が遅れてしまうと、がんは時間とともに増大し、広がり、ほかの臓器に転移しますので、治すことが困難となり、その治療には多大な労力と苦痛が伴います。治るがんとはがんの種類にもよりますが、多くのがんで早期がんと言われるものは「治るがん」、進行して広がったがんは「治らないがん」と言えるでしょう。
3)がん検診のおすすめ
ですから早期発見が大事なのですが、がんそれ自身は痛みを発さない病気です。(進行して周りの神経に浸潤したりすれば別ですが)自覚症状のみを頼りに早期がんを見つけることは難しく、特に表面に見えない臓器のがん(大腸、胃、肺、肝臓、すい臓、食道、子宮、卵巣、前立腺など)では困難です。ですから検診などを積極的に受けて、症状が無いうちから早期の状態のがんを見つけ、適切な治療を受ける努力(あえて“努力”と言います)をすれば、がんで苦しむ方も少なくなるのではないでしょうか? がんは治せるうちに(早期がんのうちに)見つけるようにしましょう。杉並区では毎年各種のがん検診を行っています。低額の料金で受けることができ、毎年多くの方が利用されていますが、しかし全てのがん好発年令の区民の方が受診されてはいるわけではございません。この記事を読まれた方はもちろん、ご家族、ご友人、お知り合いの方に是非がん検診を受けるようお勧めください。高齢化が進む日本ですが、人生の最終ゴールまで健康で幸せに生きるために努力しましょう。