【第57回】
いびき、睡眠時無呼吸症について
日中の活発な活動のためには、正しい睡眠が大切です。正しい睡眠とは、
十分な睡眠
質の高い睡眠
の両方が重要です。
いくら睡眠時間が長くても、質のよい睡眠が得られ無ければ、身体は十分な休息を得られず、日中の活動に様々な悪影響が見られます。特に、睡眠の質を低下させる病気として、近年注目されているのが、「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)」と言う病気です。日本には300万人の潜在患者がいると言われています。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中にいびきと共に呼吸停止がおこることによって睡眠障害を引き起こす病気です。
いびきは、眠っている間に狭くなった気道で呼吸をすると発生します。その原因は、舌が気道へ落ち込む、首周りの脂肪による気道の圧迫、扁桃肥大などですが、気道が完全にふさがってしまうと睡眠時無呼吸症候群となります。
睡眠中に、気道が塞がってしまうと、呼吸が一時的に停止します。この無呼吸が原因で、深い眠りが得られず、目覚めがすっきりせず体がだるかったり、昼間に強い眠気が襲ったりします。
重大な合併症
睡眠時無呼吸症候群が重篤な状態になると、日中の眠気や集中力の欠如が発生します。
睡眠時無呼吸症候群が原因の交通事故なども多く報告されており、見過ごすことができなくなっています。更には、睡眠を阻害するだけでは無く、心筋梗塞や脳卒中を引き起こしたり、高血圧、糖尿病の原因にもなります。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に十分な酸素が供給されないため、それに伴う日中の眠気や集中力の低下、および夜間のいびき、頻繁な覚醒などの症状があります。
・睡眠中の大きないびき
・睡眠中の無呼吸や低呼吸
・集中力の低下
・日中の著しい眠気・倦怠感
・起床時の頭痛
・夜間の中途覚醒・頻尿
・起床時の口腔乾燥感
・胸焼け・夜尿 など
眠気による交通事故の危険性や放置すると生命の危険に及ぶ場合もあります。
主な原因
睡眠時無呼吸症候群は肥満型の男性に多く、他に扁桃腺肥大や顎が細い人などもなりやすい傾向にあります。基本的には、気道が狭くなりえる要因が睡眠時無呼吸症候群の原因となりえます。
・肥満
肥満による首周りの脂肪の沈着などにより気道が狭くなります。
・口の中にある臓器の肥大
扁桃肥大、アデノイド肥大、舌が特別に大きい巨舌症などにより、気道が狭くなっています。
・顎が細くて小さい人
顎が小さいことでもともと気道が狭い。
・閉経後の女性
患者数は全人口の約2~3%、潜在患者は300万人とも言われ、男性に多い傾向があります。また、正常体重の人や小児でも睡眠時無呼吸症候群は見られます。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、以下の5つの方法があります。
・ダイエット
・飲酒の制限、禁煙
・マウスピース(口腔内装具)
・外科手術
・CPAP療法
一般的にはCPAP(シーパップ)という器械を使い、鼻マスクを通して一定圧の空気を送り、のどが塞がるのを防ぐ”CPAP療法”がもっとも有効で推奨されています。
口腔内装置(マウスピース)により、下顎を動く範囲で可能な限り前方に移動させ、気道の拡大を図る装置があります。
その他、軟口蓋形成術や骨格形成の手術などの方法がありますが、手術の適応があり、全例に効果があるとは限りません。
睡眠時無呼吸症が気になる方は、一度検査をお勧めします。