【第10回】 耳鼻科のお話(その3)
1. 子供の声枯れ 2. 席替えと聞こえ 3. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)と聞こえ」
1. 子供の声枯れ
声がかすれて出にくくなる症状は、風邪の時によくみられます。また、運動会などで大 きな声を出し続けた後にも、声が枯れて出にくくなることがあります。 これらは通常、数 日間で自然に治ることが多いのですが、数か月間、声が枯れた状態が続くことがあります。 これらの中には声帯に「ペンだこ」のような変化(声帯結節)が生じている場合があるので、 注意が必要です。 また、稀に乳頭腫という腫瘍が声帯周辺にできていることもあります。 特に男の子では声変わりと決めつけているとこれらの病気を見逃すこともありますので、 声の枯れた状態が長く続く場合には、一度耳鼻科を受診するように勧めてください。
2. 席替えと聞こえ
新学期になると、席替えをすることが多いようです。 学校検診で、すでに難聴があることが分かっている子供に対しては、教壇から近い場所に席を確保するといったような配慮 がされていると思いますが、 長いお休みの間に滲出性中耳炎の進行などで、新たに難聴が 生じている場合があります。滲出性中耳炎は、 鼓膜の内側に浸出液が貯留することで鼓膜 の振動が妨げられ、難聴が生じる疾患で、急性中耳炎のように発熱したり、痛みを訴える ことがありません。 席替えの時には学習内容の習熟度に加えて、聞こえ方(難聴の有無) についても改めて確認していただけるとよいと思います。
3. 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)と聞こえ
子供の病気として、ほっぺが腫れるという特徴的な症状で有名な「おたふくかぜ」。 もちろん「おたふくかぜ」であれば、学校はお休みしなければなりません。 でも、「おたふくか ぜ」の後に難聴が生じる可能性があることは意外と知られていません。 この難聴は多くの場合、高度であるとともに、治療によってほとんど改善しませんので、もし難聴が生じた場合には、 教壇からの席を考慮することはもちろん、精神的な心遣いも必要と思われます。 保護者や養護教員などと充分なバックアップ体制をお取り下さるようご配慮ください。