病気の話

【第43回】
蕁麻疹とは

蕁麻疹とは

 蕁麻疹とは、膨疹、いわゆる虫刺されの様な赤い盛り上がった発疹が、短時間の間に出たり消えたりを繰り返す病気です。

症状

 発疹は全身のどこにでも出現します。形や大きさ、持続時間は様々です。ほどんどの場合、症状は皮膚に限局しますが、腹痛、嘔吐、発熱などの症状がでることがあり、重症の場合、呼吸困難、ショック症状をきたす事もあります(アナフィラキシー)。

原因

 蕁麻疹の原因は多岐にわたり、外的刺激、発汗刺激、食物、薬剤、運動などが要因となることがあります。また、細菌やウイルス感染、疲労・ストレスなどが引き金となることもあります。内臓病変に伴って出現することもあります。様々な要因が組み合わさる場合や、原因がはっきりしない事も多いです。

病型と特徴

1. 特発性の蕁麻疹
 蕁麻疹の中で最も多く、誘因なく膨疹が出現します。一過性で経過の短い急性蕁麻疹(6週間未満)と経過が長い慢性蕁麻疹(6週間以上)に分かれます。

2. 特定の刺激や条件が加わった時に症状が誘発される蕁麻疹
1)アレルギー性の蕁麻疹
食事、薬剤などによる反応で、摂取後数分〜数時間以内に膨疹が生じます。
2)食物依存性運動誘発アナフィラキシー
小麦やエビなどの特定の食物を摂取後に運動をする事で症状が出現します。痛み止めの内服で増悪することがあります。
3)非アレルギー性の蕁麻疹
造影剤の注射、サバ・タケノコなどの摂取によることが多いです。
4)不耐症による蕁麻疹
アスピリンやその他の痛み止め、食品添加物、防腐剤、人工色素などを摂取した後に膨疹が生じます。
5)物理性蕁麻疹
皮膚の機械的摩擦、寒冷曝露、日光照射、温熱負荷、圧迫、水との接触などにより生じます。
6)コリン性蕁麻疹 
入浴、運動、精神的緊張など発汗を促す刺激が加わった時に、小型の膨疹が多発します。
7)接触蕁麻疹
接触した部位に膨疹が生じます。原因は食物、植物、ラテックス、薬剤、化粧品、化学物質などがあり、職業関連の事が多いです。

3. 血管浮腫、クインケ浮腫
 眼瞼や口唇など皮膚・粘膜の深い部位に限局して出現し、遺伝性のものと非遺伝性のものがあります。稀に喉などの粘膜にも発症し、呼吸困難などをおこすことがあります。

治療

 原因の回避と抗ヒスタミン剤の内服が一般的です。内服は蕁麻疹が出ない状況を目標に治療を継続し、最終的には薬を使用しなくても良い状態がゴールとなります。症状が抵抗性の場合は内服を倍量にするか、その他の抗ヒスタミン剤を併用するか、それでも難渋する場合にはステロイドや免疫抑制剤の使用が必要になることもあります。原因が特定できない慢性蕁麻疹で、これらの治療が効かない場合は注射製剤もありますので、かかりつけ医にお問い合わせください。


 
令和元年9月
荻窪病院 (https://www.ogikubo-hospital.or.jp/department/dermatology/
皮膚科部長 布袋祐子
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