【第36回】
下肢静脈瘤
どんな病気?
あし(脚)に送られた血液が、心臓に戻ることができず、皮膚の下の静脈に血液がた まって膨らんでしまう病気です。
症状
見た目の症状としては、皮膚を押し上げて、血管がボコボコ出っ張ってくる。皮膚の一部が茶褐色になってくる。赤く熱をもって腫れてくる。
網をかぶせたように血管の走行がはっきりわかる。細い血管がくもの巣状の斑点のように見える。あし全体がむくんでいる。
不快な症状として、あし全体がだるい。重い。皮膚がかゆい、湿疹のようになり治らない。就寝している間にあしが攣る(つる)。
皮膚が固くなり突っ張る。傷のようになり(潰瘍)なかなか治らない。コブが破れ出血する等があります。
なりやすい人
立ちっぱなし等、同じ姿勢の仕事している方。出産経験が複数回ある方。
親類にも上のような症状の人がいる方。は要注意です。
診断と治療
多くの場合、足の静脈に血液が溜まってしまう原因は、心臓に向かって流れた血液が逆流してきてしまうことで起こります。
一度逆流が起こると、どんどん逆流してきてしまうので、コブはだんだん大きくなっていきます。
逆流が起こっているのか、激しい逆流なのか少量なのかといった測定は、超音波(エコー)検査をすることで診断します。
皮膚の上から機械を当てるだけなので痛みのない検査です。
そして、逆流が少なければ、静脈が膨らまないように、外側から静脈を押さえ付けてあげれば良いので、医療用弾性ストッキングによる圧迫療法が有効です。
しかし、これは圧迫をとってしまえば(ストッキングを脱いでしまえば)元に戻ってしまいますので、逆流が少なく、症状が軽い場合に限られます。
逆流量が多い場合は、逆流を止めるために逆流している静脈を、手術で取り除く治療が100年ほど前から行われてきました。
最近では、静脈を取り除く代わりにレーザー光線や高周波の熱で逆流している血管を詰まらせることで逆流をなくす治療が中心になっています。
当院での治療
当院ではレーザーによる血管内治療を行っております。
これは目的の静脈に注射の針を刺し、静脈内に点滴の管ぐらいの太さの
レーザーファイバーを挿入して、血管の中でレーザー光線を出して治療するものなので、従来の手術治療のように切開して、
直接静脈を露出して、抜きとったりはしません。ですから、メスで切開したり糸で縫合したりといったことはありません。
さらに、昨年、レーザーファイバーが細くなったので、細かい部分のレーザー焼灼も可能になり、また、穿刺部の跡もさらに小さくて済むようになりました。
治療時間は1つの静脈に20分程度で、日帰り手術ですので歩いて受診していただき、歩いて帰宅していただけます。
術後特に安静も必要ないので、生活労作は制限なく、通常の生活をしていただけます。