【第48回】
尿路結石について
今回は尿路結石についてお話をします。
尿路とは文字どおりおしっこの通り道です。腎臓から尿管、膀胱、尿道までを指します。尿路結石は、尿の中に含まれている物質が結晶を作ってたんぱく質などと結合して固まったものです。最初は小さい石ですが、その石を中心に雪だるまのように大きくなり、尿路を移動して様々な症状を引き起こします。発見された場所により腎結石、尿管結石、膀胱結石など呼び方は違います。
尿路結石の成因は肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病と関連していると言われています。男性は7人に1人、女性は15人に1人が一生に一度経験すると言われており、男性は40歳代、女性は50歳代に多く見られます。近年増加傾向にあり、食事の欧米化によりシュウ酸を含む食事をとる機会が増えたことが原因と考えられます。また脱水も大きな原因と考えられます。そのため夏になると尿路結石の発生が増加します。
尿路結石の症状ですが、なんといっても背中から腰にかけての激しい痛みが、特に夜間から早朝に多いと言われています。救急外来にいらっしゃる患者さんも多くはこの時間帯です。その他以前から続く片側の背中の鈍い痛みや、血尿で疑われます。また背部痛に加えてお熱がある場合は必ず泌尿器科を受診してください。バイ菌が血液に入ってショック症状を起こす事があります!
検査は尿検査を行いレントゲン検査で結石の位置と大きさを調べます。また腎臓や尿管が腫れていないか超音波検査をします。放射線が使えないご妊娠中の方やお子様の場合はこれで判断することもあります。現在最も診断率が高いのはCT検査ですが、被ばく量が多いことが問題となっております。
治療はまず痛みのコントロールです。痛みが落ち着いたところで、先述の検査を行います。発熱や腎障害などが無い1cm以下の小さい結石では尿管の動きをよくするお薬を飲んで、おしっこから自然に出てくるのを待ちます。症状がある場合や、1cm以上の結石、1ヶ月程度内服をしても効果が無い場合は積極的な治療を行います。積極的治療は経尿道尿管結石破砕術(TUL)や、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)などがあります。患者さんの全身状態や、結石の位置、大きさや硬さなどで適切な治療を選択します。
尿路結石は残念ながら一度かかった人は5年以内に2人に1人が再発すると言われています。その為に再発の予防がとても大事です。予防法として 1.水分摂取 2.食生活の改善 3.肥満の防止が重要です。
症状が発症したら我慢しないで泌尿器科を受診してください!