【第38回】
排尿、蓄尿の異常について(男性編)
男性の排尿に関連するトラブルの原因で、最も多いのは前立腺肥大症です。
それ以外には、膀胱の神経障害(神経因性膀胱)、尿道狭窄症、膀胱結石症、膀胱炎などが原因と考えられます。
そこで、今回は前立腺肥大症について説明します。
尿は腎臓で産生され、尿管を流れて膀胱に到着して貯められます。ある程度(300-400ml)貯まると、尿意を感じます。 尿意を感じた後にトイレで用意を整えると、膀胱が収縮すると同時に尿道括約筋が弛緩して尿が尿道を通過して排泄されます。 前立腺は膀胱の下にあり、尿道を取り囲む形で存在する男性生殖器のひとつです。 容積は通常20−25cm3です。前立腺は年齢とともに男性ホルモンなどの影響を受けて肥大していきます。 良性に肥大した前立腺が尿道を圧迫し、下部尿路症状が出現した状態を前立腺肥大症といいます。
下部尿路症状とは、主に次の7症状です。 @排尿後、まだ尿が残っている気がする(残尿感)、Aトイレが近い(昼間頻尿)、B尿が途中で途切れる(尿腺途絶)、 C急に尿意を催し、漏れそうで我慢できない(尿意切迫感)、D尿の勢いが弱い(尿線細小)、 Eおなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)、F夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)。 そのうち、頻尿が生活に大きな影響を与える症状です。頻尿の原因は、尿量が増えてしまう状態(多尿)、尿が出し切れない(残尿)、 1回に出る尿量が少ない、などが考えられます。ことに高齢な方の場合夜間頻尿の原因として夜間多尿も問題になります。 また、夜間頻尿を訴えられる方の中には、就床時間(床に滞在する時間)が長すぎる方もお見受けします。 65歳以上の方の適切な睡眠時間は6時間と厚生労働省のHPに掲載されています。 必要以上に床に就いていると、当然その間にトイレに行く回数も増えます。遅寝早起きすると、眠りが深くなり、夜間排尿回数が減少します。
前立腺肥大症の検査には@.問診 アンケート(国際前立腺症状スコア、過活動膀胱症状質問票)
A.腹部触診、直腸指診 B.尿検査 C尿流量測定、残尿測定 D超音波検査、CTなどレントゲン検査
E.排尿日誌などがあります。 それら検査の結果を参考に、治療を検討します。
治療には薬物療法と手術療法があります。
薬物療法に用いるお薬には多くの種類があります。これらを症状にあわせて使い分けたり組み合わせたりします。
手術療法は主に、経尿道手術。従来は電気メスを用いたTURPという方法が主流でしたが、最近はレーザーを用いたPVPや
HoLEPという方法が普及し始めています。
何か気になる症状があれば、お近くの泌尿器科外来を受診して下さい。