【第72回】
HPVワクチン
ヒトパピロ−マウィルス(HPV)について
ヒトパピロ−マウィルス(HPV)には、150種類以上のタイプがあり感染するとそのタイプにより子宮頸ガンや尖圭コンジローマなどの原因となっています。
主に性交渉で感染し、性交渉のある女性の約80%が一度は感染するといわれています。
子宮頸ガンとは
子宮頸ガンとは、子宮の入り口に出来る悪性腫瘍です。
年間約10,000人の女性が発症し、約3,000人弱の人が亡くなるといわれています。
子宮膣部細胞診などの検査で早期発見する事が可能ですが、進行してしまうと子宮膣部の円錐切除と言って子宮の先端を切除することになり早産などの原因となってしまいます。さらに進行すると子宮全的術が必要になります。こうなると後の妊娠が不可能になる事もあるのです。
ところが近年ヒトパピロ−マウィルス(HPV)の持続感染による事がわかってきました。
中高年以上ばかりでなく若年(20-30代)の発症も増えており、注意が必要です。
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマとは、膣内・外陰部・会陰・肛門周囲などに特徴的な疣贅(イボ)が出来る病気です。
焼灼や塗布薬などで治療可能ですが、再発も多く又新生児への産道感染などもあり注意が必要です。
新生児へ感染すると気管支などに乳頭腫が出現し、呼吸困難などを起こすことも考えられます。
HPVワクチン
子宮頸ガンや尖圭コンジローマなどの原因となるヒトパピロ−マウィルス(HPV)感染を予防するうえで非常に有効なのがHPVワクチンです。
現在日本では以下の3種類のワクチンが使用可能となっております。
1. |
サ−バリックス(2価ワクチン)は、2009年認可され16・18型の2タイプを予防します。 |
2. |
ガーダシル(4価ワクチン)は、2011年認可され6・11・16・18型を予防します。 |
3. |
シルガ−ド9(9価ワクチン)は、2020年認可され6・11・16・18・31・33・45・52・58型を予防します。 |
現在(令和3年12月)小学校6年生から高校1年生相当の女子に、サーバリックスとガーダシルが公費で接種可能です。
又他の年齢の女性にもワクチン接種は有効と考えられており、ガーダシルは男性への接種も認められております。
まとめ
1. |
副反応を心配される事もありますが、疫学調査より安全度は高い事が確認されております。 |
2. |
日本より先行し接種が行われている欧米では、子宮頸ガンの罹患率死亡率ともに減少し有効性が確認されています。 |
3. |
厚生労働省も令和3年11月26日、中止していた接種の積極的勧奨を再開する事としました。これを機会にHPVワクチンの接種を子宮ガン検診とともに積極的に検討していただけたらと思います。 |