【第53回】
虫刺され
虫さされは身近にみられる皮膚病です。気が付かないうちに刺されて症状が出現することもよくあります。同じ虫に刺されてもほとんど症状があらわれない人もいますし、激しく腫れてしまい跡が残ってしまう人もいます。夏にかけて虫の被害にあうことが多くなります。どのような虫がいるかを知り対策を立てましょう。
血を吸う虫
蚊
虫刺されといえば一番に思いつかれる虫です。最近あまりみかけませんが蚊帳や蚊取り豚は夏の風物詩です。俳句では夏の季語にもなっているようです。
ブユ(ブトあるいはブヨという名称で呼ばれることもあります)
スネを刺されることが多いようです。
刺された時には気が付かないことが多いです。半日くらいすると刺された所が腫れてかゆくなります。しこりができて長く悩まされることもあります。
蚊やブユが多い屋外で作業する時は虫よけスプレーが有効です。
ディート(いろいろな虫に有効、長時間虫よけをしたい場合)やイカリジン(年齢制限なく小さな子供から使える)があります。用途に合わせて使用しましょう。
マダニ
野山を歩いた2,3日後に気が付くことが多いです。皮膚を咬んでいるマダニを自分で除去しようとせず、医療機関を受診しましょう。
無理に取ろうとすると虫の一部が皮膚内に残って、感染症の原因になることがあります。
イエダニ
古い一戸建てで、ネズミが生息するような家で被害がでやすいようです。
ネコノミ
野良猫や飼い猫に寄生しているノミがヒトに被害をあたえることがあります。
トコジラミ
海外の宿泊施設での蔓延が問題となっています。
刺す虫
ハチ
庭木の手入れやハイキングで刺されることが多いです。ハチの巣などに不用意に近づかないようにしましょう。香水などはハチを刺激するので注意が必要です。
刺された場合は安全な場所で横になって可能であれば冷やしてください。
じんま疹、腹痛、気分不良などの症状が認められた場合は直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
元気な様子であれば心配ありませんが、あとから腫れる人もいますので、医師の診察を受けてください。
かぶれる虫
チャドクガ(毛虫、蛾)
ツバキやサザンカの木に触れただけで毒針毛が飛んできて皮膚炎をおこすことがあります。
毛虫に触れないように注意することが最も大切で、庭木の剪定などをおこなう時にはウィンドブレーカーなどで防護しましょう。
触れた場合はすぐにセロハンテープなどを用いて皮膚に付着した毒針毛を取り除き、シャワーで洗い流すことで被害を最小限に留めることができます。
アオバアリガタハネカクシ(やけど虫)
ふれると線状のみずぶくれをおこします。
カメムシ
臭いだけではありません。
不用意に素足で踏みつけたりすると皮膚炎をおこしますので注意しましょう。
こんなときは皮膚科へ
特に幼児の場合、かきこわして、トビヒになってしまうことがあります。
ノミ刺症は大きな水疱を形成しますし、ブユはいつまでもかゆみのとれないシコリになることがあります。ダニやドクガ皮膚炎はかゆみで不眠の原因
になります。
いずれも早めに皮膚科を受診しましょう。
参考:
夏秋優「虫と皮膚炎」秀潤社, 2013年
日本皮膚科学会HP:皮膚科Q&A
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/index.html
奥田皮膚科医院
奥田賢