【第84回】
血尿が出たら、血尿と言われたら
「トイレに行っておしっこをしたら真っ赤だった、、、」
誰もがドキッとしてしまうでしょう。
また、区民検診を受けたら、「尿に血が混じっている」と言われた。
これも心配になってしまいます。
血尿が出たらどうしたらいいのでしょうか。
目で見て赤い尿を肉眼的血尿と言います。色はピンク色や真っ赤から茶色までいろいろ。まず、血尿ですぐに貧血になることはほとんどないので心配しないでください。一刻を争って救急外来や泌尿器科に受診する必要はありません。水分を十分にとって日中の泌尿器科外来を受診してください。救急外来でできることは限られるので日中の受診をお勧めします。もちろん、血液そのものが出ているようであったり、尿が出なくて苦しい状態であったりすれば救急受診も考慮されます。夜間・休日で心配でしたら、まずは病院の救急外来に電話をしてみてください。たぶん上記のような説明を受けると思います。
目で見てわからない血尿を顕微鏡的血尿といいます。顕微鏡でみてやっとわかる血尿です。一般に検診では尿潜血検査(定性検査:化学反応でみる検査)をすることが多く、尿潜血があった時に尿沈査検査(顕微鏡でみる検査)を行い、赤血球が多く見られれば顕微鏡的血尿となります。尿潜血と血尿は全くのイコールではありません。普段から顕微鏡的血尿が見られる人は割と多くいらっしゃいます。もちろん顕微鏡的血尿がない人がほとんどですが、顕微鏡的血尿で治療が必要な方はごく少数です。「検査をすると異常がでる」けれど「治療の必要がない異常」の方がほとんどということになります。
顕微鏡的血尿は先述のようにほとんどの方が問題ありませんが、肉眼的血尿は何らかの問題があることが多いです。肉眼的血尿が出たら、その後血尿が出なくなっても念のために必ず泌尿器科を受診してください。
泌尿器科外来では血尿が出る病気を念頭において検査をしていきます。血尿が出る病気は多岐にわたります。膀胱炎、尿路結石、前立腺肥大症等の良性疾患から、腎癌、腎盂癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌といった尿路悪性腫瘍まで、さまざまな病気で血尿をきたすことがあります。
診断の第一歩は尿検査です。尿を採って顕微鏡で見ます。赤血球だけの血尿の場合は癌、結石、前立腺肥大症等をまずは考えますし、赤血球と白血球が混じっている場合は膀胱炎等の尿路感染を疑います。
あとはご本人の症状をお聞きしながら、検体検査として尿に癌細胞が含まれていないかどうかの検査(尿細胞診検査)、尿の中に増殖しているバイ菌の検査(尿培養検査)、採血PSA検査(前立腺癌の腫瘍マーカー)を、画像検査として超音波(エコー)検査、造影CTスキャン検査、内視鏡検査として膀胱鏡検査等を行います。検査と並行して抗菌薬での治療を行うこともあります。診断が確定すればその治療を行うこととなります。薬の治療で大丈夫なら薬で加療。入院検査が必要であれば入院での診断検査を。手術が必要であれば手術を行います。
いずれにしろ、検査をしてみないとわかりません。目で見てわかる血尿が出たり、検診で尿潜血があると言われたりしたら、まずはお近くの泌尿器科クリニック、あるいはかかりつけ医に受診相談してください。必要があれば地域の大きな病院に紹介されます(最近はいきなり大きな病院にかかると診察代以外に割と高額な選定療養費というものを取られます)。
尿が真っ赤だったら、、、ドキッとして本当に心配になると思いますが、まずは焦らずに水分を多めにとってください。そしてお近くの泌尿器科やかかりつけ医を受診してみてください。
大丈夫です。最後はちゃんと専門家が診てしっかり診断治療します。