【第8回】 耳鼻科のお話(その1)
1. 頸部リンパ節腫大について 2. 副鼻腔炎について 3. 起立性調節障害について
1. 頸部リンパ節腫大について
最近では風疹の流行に伴い、風疹がリンパ節腫大を起こす疾患であるということが周知 の事となりつつあります。
風疹は発疹や発熱を伴うことが多く比較的診断しやすい疾患ですが、頸部リンパ節が腫大する疾患の中には、
発熱など全身症状を伴わないため診断に苦慮するケースが多々あります。
たとえば頸部リンパ節の腫大を耳下腺の腫大と間違えられて、ムンプスと診断されてし まうケースがあります。
このようなケースでは、熱を伴わない溶連菌感染症や伝染性単核 症、まれに川崎病である場合があるのです。
稀な疾患では白血病や結核も頸部リンパ節腫 大の原因となります。
耳下部の痛みや腫脹が和らいでも何となくしこりを触知するケースには注意を要したいも のです。
2. 副鼻腔炎について
副鼻腔炎は細菌やウィルスによる急性感染症が引き金となって起こる副鼻腔(鼻の周囲 に存在する小さい空間)の炎症です。
症状は鼻閉・黄色鼻汁・頭痛・集中力の低下が挙げ られます。
体質、栄養状態の低下(好き嫌い)、疲労、アレルギーの合併などが原因で炎症 が遷延して慢性化する場合があります。
特に5月は新学期からの疲労が蓄積する頃であり、また花粉症による鼻へのダメージが 残っている状態であり、副鼻腔炎の罹患率が高いのです。
しかしもともと花粉症で鼻汁・ 鼻閉があった子供は副鼻腔炎の合併に気づかなかったり、頭痛も片頭痛と勘違いされてい る場合もあります。
スギ・ヒノキの花粉症もそろそろ終焉を迎えた GW 明けにも関わらず 鼻をすすっていたり、頭を押さえて何となくだるそうにしている子供がいたら注意してあ げたいものです。
3. 起立性調節障害について
小児がめまいを訴えた場合もっとも多い疾患は起立性調節障害です。
子どもたちは「め まい」という言葉を用いず「くらくらする」「ふらつく」「倒れそう」と表現します。
自律神経失調により体と脳をめぐる血液の循環が悪くなり、主に午前中症状が出る病気です。
朝なかなか起きられず体がだるいけれど、夜になると元気で夜更かししがち・・・「怠け者 になった」と批判されがちですが立派な体の病気です。
長期の休みの間不規則な生活やゴ ロゴロと横になってばかりいると悪化して、休みが明けてもなかなか調子が出なくなりま すので注意が必要です。
しかし症状が重すぎて意識消失発作を起こしたり遅刻・欠席など 日常生活に支障が出始めたら、早めに専門医に相談しましょう。