病気の話

【第109回】
母乳のはなし

はじめに

 母乳には、赤ちゃんにとって最適な栄養と病気と戦う成分が含まれています。
 WHO(世界保健機関)や米国小児科学会では、最低でも生後6か月間はなるべく母乳のみで育てることを推奨しています。

赤ちゃんへのメリット

・感染症(かぜ、下痢、中耳炎など)にかかりにくくなる。
・肥満、糖尿病、白血病などの病気を予防する。
・乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを減らせる。

お母さんへのメリット

・赤ちゃんが乳首を吸う刺激が子宮の収縮を促し、産後の子宮の回復を早くする。
・糖尿病、乳がん、卵巣がん、骨粗鬆症になりにくくなる。
・便利で手間いらず、いつでも授乳できる。
・経済的である。
・自然なダイエットの効果がある。

母乳育児がうまくいくコツ

 生まれた直後(1時間以内)から、授乳を始めましょう。
 時間や回数を決めずに、赤ちゃんが欲しがるたびに授乳しましょう。

母乳の出があまりよくないと思われるとき

 一人で抱え込まないで、周りの人(助産師さんや小児科医など)に相談しましょう。
 赤ちゃんが元気で、うんちやおしっこが順調に出ている、体重の増え(生後3か月までは1日25g以上、3〜6か月は15g以上が目安です)が順調なら母乳は足りていると思われます。

授乳中の薬について

 お母さんが飲んだ薬の一部は母乳の中に移行しますが、ほとんどの場合、そのために母乳をやめる必要はありません。
 ご心配なら、お母さんと赤ちゃんの主治医にご相談ください。

最後に

 子育ては、お父さんや、周りの方の協力も大切です。お母さんが安心して、楽しんで子育てできるよう応援してください。


参考文献:
1)日本外来小児科学会編著 ママ&パパにつたえたい 子どもの病気ホームケアガイド.第5版.2020:117
2)佐々木礼子.授乳は時間を決めて行った方がよいですか.小児科診療.2012:75(11):1864-1866.


令和7年4月
宮下小児科医院 (https://miyashitashonika.com/
佐々木 礼子
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