病気の話

【第82回】
帯状疱疹について

 帯状疱疹と聞くと何となく怖い病気を思い起こすかもしれませんが、正しく診断され早期から適切な治療をすれば治る病気で、今日ではワクチンで予防もできる疾患です。

原因

 帯状疱疹の原因は「水痘・帯状疱疹ウイルス」です。初めてこのウイルスにかかると水痘(水ぼうそう)として発症します。水ぼうそうが治っても、このウイルスは神経の深いところ(神経節)に潜伏します。そして大人になってから過労やストレスなどで免疫力が低下すると、この潜んでいたウイルスが再活性化つまり活動を始め、皮膚に症状が現れたものが帯状疱疹となります。水ぼうそうになった日本成人の90%以上は帯状疱疹を発症する可能性があります。

症状

 神経痛のようなピリピリした痛みが出た後に赤い発疹が現れさらに水疱(水ぶくれ)も見られます。通常症状はウイルスが潜伏していた神経に沿って出てきます。そのため、発疹は神経の走行に沿った帯状となるのです。患者さんは、痛みと発疹が同時に出ると皮膚の病気と考えますが、痛みが始まってから2,3日して発疹が出る事が多いようです。発疹のない間は診断が遅れることもありますので、ピリピリした痛みが広がってきたら、早目に皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
 発疹は、はじめ赤い班で、少し触れるとピリピリ痛みます。その紅斑が身体の片側に広がっていき水疱も現れます。進行すると水疱が破れてただれた状態(びらん、潰瘍)になってしまいます。発疹は約2,3週間以内に治りますが、帯状疱疹後神経痛と言って痛みが長く続いてしまう事があります。痛みを残さないために早期の治療と安静を守ることが大切です。

 ウイルスの病気というと伝染するかと心配されるかもしれませんが、帯状疱疹が周囲の人にうつることはほとんどありません。しかしこのウイルスに対する免疫がない人(水ぼうそうにかかったことがない人や予防接種を受けていない人)に感染する可能性はあります。この場合は水ぼうそうを発症します。

治療

 原因ウイルスを抑えるために抗ウイルス薬を使います。痛みに対しても内服薬や対症療法を行ないます。
 抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑えるために発疹が出てから3日以内の早期開始が望ましいです。帯状疱疹の痛みを抑えるために鎮痛薬を用いますが、痛みの種類と程度に合わせて様々な薬を使いますので、我慢せずに痛みの治療も受けてください。
 痛みを残さないために早期の治療と安静を守ることが大切です。

予防

 帯状疱疹の皮膚症状が改善しても痛みが長く続くのが帯状疱疹後神経痛で50歳以上の方の2割に見られると言われています。痛みの程度は個人差があり多くの場合は6カ月くらいで軽快しますが時には日常生活に支障が出る場合もあります。
 厄介な帯状疱疹後神経痛の発症を予防するには帯状疱疹を発症しないことです。

 免疫力が低下した時に発症しやすいので疲労、ストレスをためない体調管理が大切ですがワクチン接種も有効な手段です。

帯状疱疹ワクチンについて

 先ほど述べたように、免疫力が低下すると体の中(神経節)に潜んでいた、水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫が低下して帯状疱疹を発症してしまいます。加齢によって徐々に免疫力が低下するため50歳代から発症しやすくなり患者さんの約7割が50歳以上です。日本では80歳までに3人に1人がなると言われています。
 ワクチン接種が可能な年齢は50歳以上です。

1)不活化ワクチン
 病原性をなくしたウイルスの一部を成分としたワクチン
 筋肉注射2回(2回で約40,000円から50,000円)
 発症予防:9年間で約90%抑制
2)生ワクチン
 病原性を弱めたウイルスそのものを成分としたワクチン
 皮下注射1回(7,000円から9,000円)
 発症予防:5年間で約50%抑制

 以上の2種類のワクチンがあります。適応や副反応さらに価格の面で差があります。どちらも効果はあるので皮膚科専門医やかかりつけ医とご相談のうえ接種されることが望ましいと思います。 帯状疱疹の発症を減らすこととその後の帯状疱疹後神経痛に効果的なワクチン接種が普及するよう願っています。


 
令和5年2月
原田皮膚科クリニック
原田 栄
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