病気の話

【第44回】
月経について

 今回は「月経」についてお話しします。
 女性の皆さま、ご自身の月経についてどのような印象をお持ちですか?
 月経は個人差が大きいです。特に困った症状が何もなく、月経が軽い人もいれば、痛みを伴い、かつ経血量が多く月経が重い方、人それぞれかと思います。

 まず初めに正常の月経とは一体何でしょうか?…
 一般的には周期は25〜28日、期間は3〜7日間、毎回の血液総排泄量は50〜80ml、初日は少なく、第2〜3日目に量が多くなり、第4日目以降次第に減少する。 通常暗赤色で、開始時は薄め、次第に濃くなり、終わる頃には淡紅色になる。正常な経血は薄くもなく、濃くもなく、凝固せず、血塊がまじることもなく、 特別な臭いもない。また、特別な不快感や痛みもない。下腹部の膨満感、腰のだるさ、乳房の腸痛、情緒不安定などの症状が現れても月経期が過ぎると自然に消失する、 これが普通の月経と言われています。

 次に月経異常の種類とその具体的な症状、原因についてお話しします。

1. 月経異常の種類とその具体的な症状

・周期の異常:
早まる場合(頻発月経といい24日以内で次の月経が来る)
遅くなる場合(遅発月経といい39日以上経過し次の月経が来る)
早くなったり、遅くなったりして一定しない 

・痛みの異常
月経痛 月経時に下腹部痛や腰痛がある

・量の異常
過多月経(タンポンとナプキンを併用している、パンツ型のおむつを使用しているなど)
過少月経(一日一回しかナプキンを交換しないで済んでしまうなど)

・期間の異常
8日以上出血がダラダラ持続する

・月経前の異常
月経の始まる3日前?7日目ぐらい前に精神が不安定になり、イライラ、気分の落ち込み、頭痛や下腹部痛などが起こり、月経が始まると症状が消えるなど

・月経に伴う諸症状の異常
ニキビ、頭痛、下腹部の張った感じ 

・周期や量の異常
月経と無関係に不正性器出血が起こる

などがあります。

2. 月経異常とその原因について

 異常をきたす原因には大きく分けて二つの考え方があります。  まず一つ目。西洋医学的な理由。つまり婦人科の病気が隠れている場合です。子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、子宮内膜ポリープなどの良性疾患や、子宮頸癌、 子宮体癌などの悪性疾患などがあります。これらが存在することで月経異常をきたす場合があります。
 二つ目は東洋医学的な理由。つまり「未病」です。これは明確な病気を発症する前の、生理機能が不調を起こし始めた段階のことをいいます。 例えば、何か心身の不調があって病院受診しても、精密検査の結果は検査値も画像も正常、「異常なし」と診断されるような場合です。これが未病です。 気や血の巡りが悪い場合に月経異常をきたします。

 西洋医学的に病気があれば、早期発見、早期治療により、女性機能を維持したまま完治できる疾患もあります。
 また東洋医学的には早い段階で体の不調に気づき、乱れかけた体の内部のバランスをもとに戻すように働きかければ、病気になることはなく健康な状態が維持できるのです。

 ご自身の月経を振り返ってみて如何ですか?
 周期の異常はないでしょうか?量の異常はないでしょうか?痛みの異常はないでしょうか?

 月経異常を認めた場合は、病気のサイン、未病のサインです。早めに婦人科を受診するようにしましょう。日々快適に、活き活きと過ごすことが出来るよう、 今一度自分自身の月経を振りかえってみては如何でしょうか?


 
令和元年10月
医療法人社団 窪田クリニック 婦人科(http://www.sugi-kubota.com/original6.html
下村 貴子
↑ページの一番上へ