病気の話

【第4回】
動悸について

 みなさんは「動悸」を感じたことはあるでしょうか。 「動悸」は症状の名前であって病名ではありません。 動悸とは通常自覚しない心臓の鼓動を感じることです。 ですから普段より脈拍が速くて「ドキドキする」のも動悸ですし、1回強い鼓動を「ドキン」と感じるのも動悸です。 いずれにしても、もともと感じない心臓の鼓動を感じるため不快感が強く、「心臓が止まってしまうのでは」と不安になります。 ではどのような病気で動悸症状を感じるのでしょうか。代表的な例をいくつかご紹介いたします。

通常より脈が速い場合

 心臓が1分間に動く数を「心拍数」といいます。 通常安静時には60〜70回程度ですが、個人差があり50回から90回程度は一般的によく見られます。 安定していれば脈拍を感じることはありません。しかし固有の心拍数よりも何らかの原因で早くなると「動悸」として自覚されます。 心臓自体の病気により脈が速くなる場合もありますが、心臓以外に原因がある場合も多く見られます。 心臓は自律神経という神経に支配されていますが、緊張などで交感神経の活動が活発になると脈が速くなります。 また貧血になると少なくなった血液で循環を支えようとして心拍数が速くなります。 さらに甲状腺という臓器からのホルモン分泌が多くなると心拍数が上昇することがあります。

通常より脈が遅い場合

 上記とは逆に心拍数が通常より遅くなっても動悸を感じることがあります。 これは脈が遅くなると1回に心臓が送りだす血液の量が増え、鼓動を強く感じることがあるためです。 原因として心臓の電気刺激や電気の伝達システムに問題がある場合のほか、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気などで起きます。

いわゆる「不整脈」

 ここで言う「いわゆる不整脈」とは脈拍が乱れるもののことです。 最も多いのが「期外収縮」といわれるものです。 これは自分で脈を取ったり、自動血圧計で血圧を測定したりしているときに「脈が飛ぶ」とか「脈が抜ける」ということで気づかれることがあります。 「上室性期外収縮」といわれるものと「心室性期外収縮」といわれるものがありますが、通常どちらも症状に差はありません。 人によっては咳がでたり、息苦しく感じたりすることもあります。 治療の必要がないことが多いのですが、頻度が多かったり連続して起きたりする場合は病院で検査が必要となります。
 もうひとつ代表的な不整脈は「心房細動」です。 心房細動では心臓の鼓動に全く規則性がなくなります。 早くなったり遅くなったりして、脈自体が触れづらく感じる場合もあります。 心房細動が突然はじまると強い動悸症状を感じることが多いのですが、慢性化してしまうと動悸を感じない場合もあります。 心房細動は脳梗塞の原因となることがありますので、はやり病院での検査が必要です。

まとめ

 このように「動悸」にも色々とあることがおわかりいただけたと思います。 それぞれ原因によって対処法、治療法が違いますので正確な診断が重要ですが、病院を受診するときは症状がないことがほとんどです。 そこで普段から自分の脈の様子、心拍数などを確認しておくことが重要です。さらに動悸を自覚したときは以下のことを評価してください。

1. 動悸がした時の状況、時間、持続時間を確認する。
2. 脈を取り、以下のことを確認する。
       通常より脈が速いか、遅いか?
       脈が飛ぶことがあるか?
       脈がばらばらに乱れていないか?

 これらのことを確認の上、さらなる検査が必要か病院でご相談ください。
 

平成25年5月 石井こども・内科循環器科クリニック 石井健輔
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