どうなっているの?杉並の医療

杉並区医師会は区民の皆様の健康の保持・向上を目的に、各種健診・休日診療・予防接種・講演会・児童生徒の健康管理・救急及び災害時医療・介護認定審査等の事業を行政(杉並区)とまさに車の両輪の関係で実施しています。
このコーナーでは、杉並区医師会が医療現場から得られた情報を基に医療の専門家としての対策を考え、その具現化した内容を医療情報として皆様に発信することを目的としています。

【第5回】杉並区がん検診について(1) [2011.09.02掲載]

杉並区は癌検診受診率が他の自治体に比べ低い傾向にあります。是非受診することをお勧めいたします。 検診の内容や申込方法など、詳しくは杉並区役所のホームページをご覧下さい。

Q1.
胃癌検診ではどんな検査をするのですか?

現在杉並区での胃癌検診は、バリウムと胃を膨らませる発泡剤を飲みエックス線を使って胃を観察する胃部エックス線検査です。
以前は胃癌が悪性腫瘍の死亡率1位でしたが、ここ数年で徐々に減少傾向を認めますがまだ2位に位置しています。検診で発見される胃癌の約70%は早期胃癌であり、早期であれば5年生存率(治療後5年後まで生存している割合)は90%以上となっています。
最近では早期がんで発見された場合にはお腹を切らなくても、胃カメラによる内視鏡治療が可能である場合も増えてきています。
40歳以上の方は男女限らず、年に1回の検診をされることが望ましいとされています。(平成20年度 受診率1.2%)

Q2.
肺がん検診ではどんな検査をするのですか?

現在癌の死亡率第1位は肺がんです。肺がんは進行した状態で発見されることが多く、また他の臓器に転移しやすいなどの理由により治療成績が上がらないために死亡数が多いとされています。
肺がんの原因として喫煙が第一に挙げられます。
肺がん検診は胸部レントゲン撮影と医師が必要と判断された方には、喀痰の細胞検査を追加します。40歳以上になったら男女問わず年に1回の検査が望ましいとされています。(平成20年度 受診率0.4%)

Q3.
大腸癌検診ではどんな検査をするのですか?

大腸癌は現在増加傾向にある癌のひとつで、癌の死亡率の中でも第3位に位置しています。
大腸癌検診は無症状の段階で、癌やポリープを見つけだすことが目的となっています。便潜血検査は、便が癌やポリープと接触することでおきる見えない出血を調べる検査です。
大腸癌は早期がんで治療を行えば5年生存率(治療後5年後まで生存している割合)は90%以上となっています。また早期がんのなかの粘膜内癌(癌が粘膜内に留まっているもの)であれば、内視鏡での治療が可能である場合も多く、5年生存率もほぼ100%となっています。毎年の受診が望まれます。(平成20年度 受診率16.5%)

Q4.
子宮がん検診ではどんな検査をするのですか?

子宮の入り口から下1/3あたりまでを子宮頸部といい、子宮頸がんはこの部分に出来る癌です。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が、原因となることがわかっています。杉並区では予防策としてHPVに対するワクチン(代表的な型のもの)を中高校生に予防接種の助成を行っています。ただしこれですべての子宮頸がんを予防できるものではありませんので、定期的な検診が必要となります。
子宮がん検診は問診、視診、子宮の細胞診と内診を行います。細胞診検査は子宮頸部から専用のブラシや綿棒などで細胞をこすりとって、顕微鏡で調べる検査です。早期がんであれば早期治療を行うことによりほぼ100%子宮を残すこともできます。
最近は20歳代の子宮頸がんが増えていますので、検診は20歳から2年に1回は受診するようにしましょう。(平成20年度 受診率7.7%)

Q5.
乳がん検診ではどんな検査をするのですか?

乳がんは他の癌と違い高齢になるほど多くなることはなく、40−50歳台に多い癌で、近年増加傾向にあります。
癌が乳管(母乳の通り道)や小葉(母乳を作る場所)の中に留まっている状態を「非浸潤癌」とよび、この段階であれば治療を行えば、転移、再発する確立はほぼなく10年生存率(治療後10年まで生存している割合)はほぼ100%となっています。非浸潤癌は手で触れることは難しいため、「マンモグラフィー」による検診が重要となります。
一方、がん細胞が乳管や小葉を超えて周りの組織に拡がったものを「浸潤癌」とよび、転移や再発の危険性を伴います。乳がん検診は問診、視触診、マンモグラフィー(乳房エックス線検査)にて行います。
マンモグラフィーによる検診は乳房が張っているときには痛みを感じやすいので、月経終了後の比較的張りの少ない時期に受けましょう。乳がん多くなる40歳からは2年に1度の検診が重要です。(平成20年度 受診率10.3%)

Q6.
前立腺がん検診ではどんな検査をするのですか?

現在前立腺がんも増加傾向にあります。20年前に比べ死亡率は約4倍となっています。
前立腺がん検診は血液中のPSA(前立腺特異抗原)という物質を測ることにより行います。PSA値が基準値を超えた場合には泌尿器科医師による精密検査が必要となります。
杉並区では50,55,60,65,70歳の方の検査をおこなっています。

Q7.
肝臓がん検診ではどんな検査をするのですか?

肝臓がんの原因の90%とされるB型、C型肝炎の感染の有無を調べる検診です。
B型肝炎、C型肝炎ウイルスに感染することにより慢性肝炎を経て肝臓がんが発生することがわかっています。
40歳を過ぎたら一度肝炎ウイルスを調べることが大切です。


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